「看護師にしかできないこと」
Bさん 2B病棟勤務
私の心に残った看護場面は、初めて受け持ちの患者さまの看取りに立ち会ったときのことです。ご家族の面会が1名ずつ行われる中で、最初はご家族にどんな言葉をかければいいのか、看護師として今何をすべきか戸惑いと不安がありました。
私はご家族に何か伝えたいと思い、病院での患者さまの様子を話し、ご家族はそれを嬉しそうに聞いて下さりました。そして息子さんの立ち会いの順番になったのですが、意識がない父親にどう言葉をかけたらいいのか戸惑われている様子でした。
そのとき、人間は最後まで耳は聞こえているということを思い出し、まず患者さまに「〇〇さん、息子さんですよ」と声をかけ、次に息子さんに「最後まで耳は聞こえているので、〇〇さんにぜひ声をかけてあげてください」と伝えました。それを聞いて息子さんは患者さまのそばに寄り添い、声をかけられていました。その数時間後の最後の面会では奥さんが立ち会われました。
私は、先輩看護師にも立ち会ってもらい、最後の最後まで患者さまに声をかけ続けました。その時先輩看護師から、外来で待機している娘さんに連絡してみてはどうかと提案がありました。最後の面会は1名のみであったため、娘さんのことを気にかけてのことだったと思います。娘さんに電話がつながり、電話越しに話しかけている最中に患者さまは旅立たれました。
患者さまを看取り、死後の処置やお見送り、片付けなどの慌ただしい時間が過ぎ、落ち着いたときにふと、このような場合、看護師には何ができるのかを考えました。
大切なご家族を失った喪失感は計り知れないものだと思います。そんな辛いときに看護師のかける一言や何気ない行動が、ご家族の心を少しでも楽にできるということを今回の経験から知ることができました。まだまだ知識や技術は未熟な私でも、自分が知っている患者さまの病院での様子をご家族に伝えることや、先輩看護師が提案した娘さんに連絡し電話を繋ぐという行動の1つ1つがとても大切なことで、これも看護の1つだと学ぶことができました。