「身体抑制中の患者さまの心のケア」

Jさん 2B病棟勤務

これまでの看護で印象に残っているのは身体抑制中の認知症患者さまのケアに関わったことです。
その方は認知症のため、看護師が術後であるため創部に触れてはいけないことや、点滴の必要性を説明しても理解できずにいました。

治療を優先させるために介護服、両手ミトン、4点柵の身体拘束を行うことになりました。これにより、治療をスムーズに行うことができるようになった一方で、不穏が出現し日に日に増悪していました。1日を通して「助けてー」と部屋の外まで聞こえるような大きな声を出したり、ケアで訪室した際には「これ(ミトン)外して」「もう殺して」などとケアが終わるまで言っていたりしていました。その当時、私は入職して間もない時期でどう声を掛けたらいいのか分からず、上手く声掛けをする事ができずにいました。

以前研修で抑制を体験し、身体抑制で体の自由がきかないと誰でも不安や不満を感じるということを知りました。そのことから認知症患者さまにとっては、他の患者さまより大きな不安を抱いている事も考えられると思います。

あの時、声掛けをする事に焦点をおいていましたが、それだけではなく手や腕をさすったり、手を握ったりといったボディタッチを行えていれば少しでも不安を取り除く事が出来たのではないか、不穏が増強せず落ち着きを取り戻すことができたのではないか、と何もできなかった自分に後悔しています。
自分の体験や思いを今後に活かし、何より患者さまの立場に立つという事を忘れずに看護をしていきたいと思いました。