「手術前の患者さまとのかかわり」
Lさん 手術室勤務
手術室配属から約半年経ちましたが、強く印象に残っているのが小児のオペを初めて担当した体験です。子供が感じる恐怖心を最小限にするにはどうしたらよいか、術前のかかわり方について考えるきっかけとなったオペでした。
患者さまは8歳の男の子(A君)で、学校の運動場で転倒した際に手をついて右手首を骨折したためOP入院となりました。術前オリエンテーションを行う前に情報収集し、母親と共に入院している病室を訪れました。母親に術前オリエンテーションの用紙を見てもらいながら説明を行いました。A君は泣いてはいませんでしたが不安げな表情でした。
手術時間となったのでA君と母親は手を繋いで手術室扉前に来られました。名前を確認した後、母親と繋いでいた手が離れた時、不安な気持ちがあふれたのか「うぇ~ん」と泣き出しました。私は、A君の小さい手を両手で包むようににぎり「大丈夫、お母さん待っているから」「がんばろう」と声をかけ、母親と病棟看護師に手を振って中に入りました。
男の子の不安な気持ちを軽減できるように麻酔科医、オペ看護師が声をかけながらベッドに横になってもらいました。その時にA君に普段どういった遊びをしているのか等を話すことで緊張を和らげようと試みました。わずか数分の会話でしたが、泣いているA君が少し落ち着きました。その後、A君は麻酔の効果により眠りオペの準備が始まりました。
侵襲性を伴う手術は、小児、成人関係なく恐怖や不安を感じるものだと思います。対象が子供となれば尚更、心細く、怖さも強く感じます。今回のケースは、そのような時に、どのようなかかわり方が良いのかを考えるきっかけとなりました。手術看護師は、患者さまとの関わりが少ないため、術前オリエンテーションはとても貴重な時間です。単に情報を知るだけではなく、手術前の患者さまの気持ちを受けとめ、不安や恐怖を最小限にすることも大事であると考えます。今回の体験を今後の手術看護に活かしていきたいと思います。